近野宏明 乗りもノートでタグ「元・パトカー」が付けられているもの

#416 「転身」

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 「この道ひとすじ」という人も、いつかは引退するときがやって来ます。それまでの仕事に区切りを付け、次のステージに切り替えていきます。会社務めの人であればスーツに身を包む生活をやめ、もっとくだけた服装の毎日が待っているかもしれません。技術系の人であれば作業服、医療・研究系の人であれば白衣...。それぞれの仕事で長年馴染んだ出で立ちを改めて、転身していくわけです。

元・パトカー  しかるに。転身したはずなのに衣が脱ぎ捨てられていない例も見受けられまして。それが今回ご紹介するこの車です。出張に出る際に、ワシントンのダレス国際空港の駐車場で見かけたこのセダン。誰がどう見ても、「元・パトカー」です。もちろん、いわゆる赤色灯は取り外され、ドアにプリントされていた警察の紋章は塗りつぶされるなどしていますが、この車を遠目に見つけたら、現役かどうかは区別が付かないでしょう。

 ワシントンに暮らして「へぇ」と気づいたことの一つは、「元・パトカー」がけっこう走っているということ。写真の「フォード・クラウンビクトリア」というセダンにはもともとパトカー仕様のバージョンがあり、警察での役目を終えると民間に払い下げられるんですね。運転席側のドアミラーのあたりに、「現場」を照らす「お玉」のような形をした投光器が付いたまま走っているのをよく見かけます。もちろん車体は全面的に塗り直しているのが普通ですが。

 この1台はまだ「転身」しきれていないのか。引退したはずのお巡りさんが、肩章や名札を外しただけの制服を着て出歩いているような感じです。これから何色の服に着替えるのでしょうか。

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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