駅の記憶

第01話 下関駅
駅の思い出

第01話 下関駅 駅の思い出

  • 荒瀬正廣 様(56) 下関駅弁当勤務

    memory_photo_01.jpg第7代目の下関駅長藤本さんが(下関駅弁当の)2代目社長でした。12代目、17代目、22代目、27代目の駅長も、駅長を務めた後、社長に就きました。 国鉄時代は、駅長を務めた人が社長になっていたものでした。今の会社の位置は、創業当時と違うのですが、当時は、竹籠に駅弁を入れて駅まで運び込みまし た。
    うどんのつゆは、担いで行ったのですが、当時は、つゆの蓋なんてなかったので、路面電車のレールにつゆがかかっちゃってね。駅につくころには、つゆが半分くらいに減ってました。
    現在の警察署のところは、もと山陽ホテルでした。3階建て木造の明治の建物で、明治天皇もお越しになったホテルです。当時は路面電車も走っていて、当時 は、映画館が5、6館ありました。今は小さいものが2つだけですが。それと、当時のチンチン電車の車両は、確か今、四国の松山で走っているはずです。
    この辺りは埋め立てた土地ですから、もともとは貨物の向こうがすぐ海でした。昔は関釜フェリーがここからでていたので、駅舎から板を張ってね。ぽったりさん(日本でいうカンカン部隊、担ぎ屋さん。韓国系日本人)がフェリーに七輪を持ち込んで焼き肉をやっていたね。
    24時間営業で、急行、準急、ブルトレ、寝台列車......。いろいろな列車がたくさん走っていました。特急や急行の中での駅弁の車内販売もやっていました。寝台列車は、ちょうど朝お腹が減った頃につくので、ホームでうどんをかきこんだり、お弁当を買ったりする。
    当時、カンカン部隊(担ぎ屋さん)がいて、下関で仕入れて乗り込むのですが、忙しいときなんて、山陰本線の中で魚をさばきだすこともありました。昭和38年の国体のときに一気に雰囲気が変わったと思います。
    国鉄時代は、とっぽう(配車)と言って、貨物列車を切り離すのは人がやっていたんだけど、手ブレーキをかけても止まらない。だから、手ブレーキをかけた ら、貨物列車から飛び降りたんです。熟練した人は大丈夫なんだけれど、慣れてくるときが危ない。失敗して足を切り落としちゃった人も、何人かいました。

    昭和30年くらいは、今より1万人は多かったです。それに、今の中央口の他に、もう1つ改札がありました。今は閉鎖していますがね。当時は、もう一つの改 札の側にデパートがあったからね。今は、マイカー時代なので、デパートがあってもみんな車で来てしまって、地元の人なのに、駅(改札)の場所を案内できな い人もいるくらいです。

    最初、幕の内弁当しかなかったんだけれど、昭和40年にうどんをやりはじめました。当時は夜行列車もばんばん走っていたから、機関車をつなぐ10分間の間 にみんなうどんをかきこむ。すぐに満員になってしまうので、持ち込みうどんも開発した。当時は、素うどんが30円、ちゃんぽんが70円、一日に3,000 杯はでました。(国鉄当時は、2,000何社も駅弁屋がありました)若い人は、2杯食べていく。だから、そういう人のために昭和44年、うどんの他にいな り寿司のも売り出しました。

    中2階の詰め所にいたけど、当時は歩合制で立ち売りでした。こちらから「買ってくれ」と言わなくても、みんな「買わせてくれ」と来るから、ちょっと天狗に なっちゃってたね。今も「ふぐめし」はあるけれど、もともとこの器は陶器だったんですよ。でも、そうじの人から処分しにくいと苦情が来ちゃってね。だから 今は陶器は使っていないんだよね。創業当時の品数は、17くらいありましたが、幕の内だけでした。
    ここはとても風が強いので、強風でホームに人が落ちちゃったことはあるね。
    あとは、34代の徳永駅長の時期に、車がつっこんだ事故がありましたが、それくらいですね。あのときは、キオスクのおばちゃんも「私、どうすればいいんでしょう......」って。

管理者コメント

この記事は、下関駅を取材した際、お聴きした話をまとめたものものです。下関駅は駅弁とうどんのおいしい駅です。駅弁ではやはり「ふくめし」ですね。荒瀬さんも「心を込めて作っていますから、しっかり味わってくださいね」とおっしゃっていました。この記事を掲載するにあたり、荒瀬さんから「下関駅の重大事件は1999年9月29日下関駅通り魔事件と2006年1月7日の下関駅放火事件で三角屋根駅舎全焼事件です。ちなみに当社の弁当うどん販売コーナーは無事でした」とメッセージをいただきました。下関にお越しの際は、ぜひ駅弁とうどんをご賞味下さい。

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